COLUMN
2026-05-15
猫の甲状腺機能亢進症|高齢猫に多い病気の症状と治療
「高齢なのに最近やたら元気」「食べているのに痩せてきた」――こんな変化があった場合、猫の甲状腺機能亢進症の可能性があります。10歳以上の猫の約10%が発症するといわれる、高齢猫に非常に多い内分泌疾患です。
この記事では、甲状腺機能亢進症の症状・診断・治療法について解説します。
甲状腺機能亢進症とは
甲状腺は、のどの両側にある小さな内分泌腺です。ここから分泌される甲状腺ホルモン(T4)は、全身の代謝を調節する重要なホルモンです。
甲状腺機能亢進症は、甲状腺が過剰に活動して甲状腺ホルモンが大量に分泌される病気です。代謝が異常に亢進するため、食べても食べても痩せる、心拍数が上がる、興奮しやすくなるなどの症状が現れます。
原因のほとんどは甲状腺の良性腫瘍(腺腫様過形成)で、悪性腫瘍は稀です。
こんな症状があったら要注意
以下の症状が複数見られる場合は、甲状腺機能亢進症の可能性があります。
- 食欲が増えたのに痩せてきた(最も典型的な症状)
- 水をたくさん飲み、尿の量が増えた(多飲多尿)
- 落ち着きがなくなった、夜鳴きが増えた
- 嘔吐・下痢が増えた
- 毛並みが悪くなった、毛が薄くなった
- 心拍数が速い、呼吸が荒い
- 攻撃的になった、性格が変わった
「年をとっても元気でよく食べる」と喜んでいたら実は甲状腺の病気だった、というケースは少なくありません。特に10歳以上の猫で急に活動的になった場合は、一度検査をおすすめします。
診断方法
甲状腺機能亢進症の診断には、以下の検査を行います。
- 血液検査(T4測定):甲状腺ホルモンの値が基準値を超えていれば診断がつきます。最も重要な検査です
- 一般血液検査:肝酵素の上昇、腎機能の評価など。甲状腺機能亢進症は腎臓病を隠してしまうことがあるため注意が必要です
- 血圧測定:高血圧を合併していることが多く、網膜剥離のリスクがあります
- 心臓の評価:心拍数の増加、心雑音、心肥大がないか確認します
治療法
内科治療(抗甲状腺薬)
最も一般的な治療法です。メチマゾール(チアマゾール)という薬を毎日投与して甲状腺ホルモンの産生を抑えます。
- 飲み薬(錠剤)または塗り薬(耳の内側に塗るタイプ)があります
- 生涯にわたる投薬が必要です
- 定期的な血液検査で薬の量を調整します
- まれに副作用(食欲低下、嘔吐、白血球減少など)が出ることがあります
食事療法
ヨウ素を制限した処方食(ヒルズ y/d など)を与えることで、甲状腺ホルモンの産生を抑える方法です。
- この食事のみを与える必要があり、他のフードやおやつは禁止
- 多頭飼いの場合は食事管理が難しいことがあります
- 投薬が困難な猫の選択肢になります
外科治療(甲状腺摘出術)
腫大した甲状腺を外科的に切除する方法です。根治が期待できますが、全身麻酔が必要なため、高齢猫では慎重な判断が求められます。
治療中の注意点
- 腎臓病の顕在化:甲状腺ホルモンが正常化すると、それまで隠れていた腎臓病が表面化することがあります。治療開始後2〜4週間で腎機能の再検査を行います
- 定期検査:3〜6ヶ月ごとにT4値と腎機能の血液検査が必要です
- 体重モニタリング:治療がうまくいくと体重が戻ってきます。体重の推移は治療効果の指標になります
当院での甲状腺疾患の診療
バウミュウ動物病院では、院内でのT4測定による迅速な診断に対応しています。高齢猫の健康診断では甲状腺ホルモンの測定もおすすめしています。
「最近痩せてきた」「食欲はあるのに体重が減る」「夜鳴きが増えた」などの変化があれば、早めの受診をおすすめします。適切な治療で多くの猫が元気に過ごせるようになります。
CLINIC INFO
バウミュウ動物病院〒290-0062 千葉県市原市八幡520
診療時間 午前 9:00〜12:30 / 午後 15:30〜18:00
休診日 年末年始のみ(年中無休)
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