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2026-08-16(更新: 2026-08-23)
犬の嘔吐の原因と対処法|危険な嘔吐の見分け方
この記事の目次
犬が突然吐くと心配になりますが、犬はもともと人間に比べて嘔吐しやすい動物です。散歩中に草を食べて吐いたり、早食いのあとにフードを吐き戻したりと、一時的で問題のない嘔吐もあれば、胃捻転や誤食のようにすぐ受診が必要な危険な嘔吐もあります。
この記事では、犬の嘔吐の主な原因と、危険な嘔吐の見分け方、嘔吐物の色でわかる危険度、自宅での応急処置について市原市のバウミュウ動物病院が解説します。
「吐出」と「嘔吐」の違い
犬が「吐く」動作には、実は2種類あります。原因も緊急度も異なるため、まずどちらのタイプかを見分けることが大切です。
- 吐出(としゅつ):食べた直後に、お腹の力を使わずスルッと未消化のフードが出てくるもの。食道の段階で戻っており、早食いや食道の異常が原因です。吐いたあとケロッとしていて、出てきたフードをまた食べようとすることもあります
- 嘔吐(おうと):吐く前に何度もえずいたり、お腹を波打たせたり、よだれを垂らして落ち着かなくなるなどの前兆があり、腹筋を使って胃の内容物を吐き出すもの。胃や腸、あるいは全身の病気のサインであることが多く、こちらは注意が必要です
受診の際に「食後すぐか・時間が経ってからか」「えずく動作があったか」をお伝えいただけると、診断の大きな手がかりになります。
犬が吐く主な原因
犬の嘔吐の原因は多岐にわたります。よくある原因を大きく3つに分けて解説します。
一時的な原因(比較的心配が少ないもの)
- 空腹(黄色い泡を吐く):食事間隔が空きすぎると、胆汁の混ざった黄色い泡状の液体を吐くことがあります。明け方や食事前に多く、「ビリアス症候群(胆汁嘔吐症候群)」とも呼ばれます。夕食を少し遅らせる・寝る前に少量与えるなど食事回数の調整で改善することが多い嘔吐です
- 早食い・食べ過ぎ:一気に食べた直後に未消化のフードを吐き戻すことがあります。早食い防止食器やフードの小分けが有効です
- 草を食べた:散歩中に草を食べて嘔吐することがあります。胃のむかつきを自分で解消しようとする行動と考えられていますが、除草剤のかかった草には注意が必要です
- 車酔い:移動中に嘔吐する場合は乗り物酔いの可能性があります。酔い止めの処方も可能ですのでご相談ください
注意が必要な原因
- 誤食・異物摂取:犬の嘔吐で特に多い原因です。おもちゃの破片、靴下、タオル、梅干しやとうもろこしの芯、果物の種、串など。胃や腸に詰まると腸閉塞を起こし、手術が必要になることもあります
- 中毒:チョコレート、キシリトール入りガム、タマネギ・ネギ類、ブドウ・レーズン、ユリ科植物、人の医薬品など。食べた量によっては命に関わります
- 感染症:犬パルボウイルスは激しい嘔吐と血の混じった下痢を起こし、特にワクチン未接種の子犬では致死率の高い感染症です。犬ジステンパーなども嘔吐の原因になります
- 寄生虫:回虫、鉤虫などの消化管内寄生虫。子犬では嘔吐物に虫が混ざって出てくることもあります
- 急性胃腸炎:拾い食いや脂っこい食べ物、ストレスなどをきっかけに嘔吐・下痢を起こします
慢性的な病気が原因の場合
- 膵炎:脂肪分の多い食事(人の食べ物のおすそ分け、揚げ物の盗み食いなど)の後に嘔吐・腹痛・下痢が起こりやすく、ミニチュア・シュナウザーなど好発犬種もあります
- 腎臓病:慢性腎臓病が進行すると尿毒症で嘔吐が増えます。多飲多尿・食欲低下を伴うことが多いです
- 肝臓病:肝機能の低下に伴い嘔吐が起こることがあります
- ホルモンの病気:副腎皮質機能低下症(アジソン病)など、嘔吐を繰り返す内分泌疾患もあります
- 消化管腫瘍:シニア犬で嘔吐が続く場合、胃や腸の腫瘍が隠れていることがあります
- 胃拡張・胃捻転:大型犬・胸の深い犬種に多い緊急疾患。食後に腹部が膨らみ、吐こうとしても吐けません(詳しくは後述)
嘔吐物の色・見た目でわかる危険度
吐いたものの色や内容は、原因を推測する重要な手がかりです。片付ける前に写真を撮っておくと診察がスムーズです。
| 色・見た目 | 考えられる原因 | 危険度 |
|---|---|---|
| 未消化のフード | 早食い・食べ過ぎ・吐出 | 低(繰り返す場合は受診) |
| 白い泡・透明な液体 | 空腹・胃液の逆流 | 低〜中 |
| 黄色い泡(胆汁) | 空腹時間が長い(ビリアス症候群) | 低〜中(頻回なら受診) |
| 緑色 | 胆汁・草・まれに腸閉塞 | 中 |
| ピンク〜赤色(血が混じる) | 胃や食道からの出血・胃潰瘍 | 高(早めに受診) |
| 茶色〜コーヒーかす状 | 消化された血液=胃からの出血 | 高(すぐに受診) |
| 便のようなにおいがする | 腸閉塞の可能性 | 高(すぐに受診) |
| 異物が混ざっている | 誤食(残りが胃腸内にある可能性) | 高(受診推奨) |
大型犬は特に注意「胃拡張・胃捻転症候群」
グレート・デーン、ジャーマン・シェパード、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、秋田犬など、大型で胸の深い犬種に多いのが「胃拡張・胃捻転症候群(GDV)」です。胃がガスで膨らみ、ねじれてしまう病気で、発症から数時間で命に関わります。
- 吐こうとえずくのに、何も出ない(または泡だけ)
- お腹(特に左側)がパンパンに膨らんでいる
- よだれを大量に垂らし、落ち着きなく歩き回る
- 食後や食後の運動のあとに急に苦しみだした
予防のためには、食事を1日2回以上に分ける、早食いをさせない、食後1時間程度は激しい運動を避ける、といった対策が有効です。
危険な嘔吐の見分け方
以下のような症状がある場合は、早めに動物病院を受診してください。
- 1日に何度も繰り返し吐く
- 嘔吐物に血が混じっている(赤色やコーヒー色)
- 吐こうとしているのに何も出ない(胃捻転の兆候)
- 嘔吐に加えて下痢もある
- ぐったりして元気がない
- 水を飲んでもすぐに吐く
- 異物を飲み込んだ可能性がある
- 子犬やワクチン未接種の犬の嘔吐
- 腹部が張って苦しそうにしている
特に「吐こうとしているのに吐けない」「お腹がパンパンに張っている」場合は、胃捻転の可能性があり、数時間で命に関わる緊急事態です。夜間でもすぐに受診してください。
嘔吐時の応急処置
犬が嘔吐した直後の対応について説明します。元気・食欲があり、単発の嘔吐であれば、まずは以下の対応で様子を見ることができます。
- まず絶食:嘔吐直後は2〜4時間ほど食事を控え、胃を休ませてください
- 水は少量ずつ:一気に水を飲むと再嘔吐しやすいため、少量ずつ回数を分けて与えます
- 嘔吐物を観察・記録:色、内容物、回数、吐いたタイミング(食前・食後・明け方など)を記録し、可能であれば写真を撮っておきましょう
- 安静にさせる:落ち着いた場所で休ませます。食後の散歩や運動は控えてください
- 症状が落ち着いたら:消化のよい食事(ふやかしたフード、ささみなど)を少量から再開します
やってはいけないこと:誤食や中毒が疑われる場合に、自己判断で塩やオキシドールを飲ませて吐かせるのは非常に危険です。かえって食道や胃を傷つけたり、塩中毒を起こしたりすることがあります。必ず動物病院で処置を受けてください。
動物病院を受診する目安
以下のいずれかに当てはまる場合は、様子を見ずに受診をおすすめします。
- 嘔吐が半日以上続いている、1日に3回以上吐く
- 嘔吐と同時に下痢や食欲不振がある
- 子犬(生後6ヶ月未満)やシニア犬の嘔吐。子犬は脱水や低血糖が急速に進みます
- 持病(糖尿病、腎臓病など)のある犬の嘔吐
- 中毒物質や異物を口にした可能性がある
- 週に1〜2回でも嘔吐が何週間も続いている(慢性の嘔吐)
「元気だから大丈夫」と思っていても、慢性的に吐く場合は膵炎・腎臓病・腫瘍などが隠れていることがあります。頻度が多いと感じたら一度検査を受けることをおすすめします。
当院での嘔吐の診療
バウミュウ動物病院では、嘔吐の原因を特定するために以下の検査を行います。
- 血液検査(腎機能・肝機能・膵炎マーカーなど)
- レントゲン検査(異物や腸閉塞の確認)
- 腹部エコー検査(消化管・膵臓の状態確認)
- 必要に応じて内視鏡検査や造影検査
原因に応じて、点滴・制吐剤・食事療法・手術など適切な治療をご提案いたします。嘔吐は「様子を見ていたら悪化した」というケースも少なくありませんので、気になる症状があればお早めにご相談ください。
CLINIC INFO
バウミュウ動物病院〒290-0062 千葉県市原市八幡520
診療時間 午前 9:00〜12:30 / 午後 15:30〜18:00
休診日 年末年始のみ(年中無休)
予約不要・当日受付OK。犬・猫の診療はお気軽にご来院ください。
